第28回『大工ツールコレクションⅤ』

第28回『大工ツールコレクションⅤ』

今回ご紹介する大工ツールは《鑿》です。
 
ところで皆さん、この字読めます?
字画数半端じゃないですよね(笑)!
これは「ノミ」と読みます!いきなり「書け!」と言われれば笑って誤魔化すしかないタイプの漢字です(笑)。
漢字はやたらと複雑なのですがモノ自体はいたってシンプルな形状をしています!
 
 
F1020007.jpg
 
写真は【追い入れ鑿】と呼ばれる10本セットのモノです。
 
短い柄の先に刃物がとりつけてあるだけです。
 
小さいモノから一分(いちぶ)、二分、三分、四分、五分、六分、八分、一寸、一寸二分、一寸五分(いっすんごぶ)と相変わらずの尺寸法で分けられています!【※一分(いちぶ)が3ミリ、一寸が約3センチです】
 
この【追い入れ鑿】の他に【叩き鑿】、【丸鑿】、【突き鑿】などの鑿があります。基本的に【突き鑿】以外は木材を掘るための道具です!
 
穴を掘るならドリルでいいじゃないかと思われますが、我々大工の場合は“直線系”の穴を穿たなければならないケースが殆どのためこうした角穴を掘れるツールが必要になってくるわけです。
 
鑿の柄の先端部には《カツラ》と呼ばれる鉄の輪っかがはめ込まれています(ヅラじゃないですよ)。
 
 
F1020014.jpg
 
こんな感じです!
この部分を《玄能》で叩いて穴を掘る訳です。
これがないと叩いた時の衝撃で柄が割れてしまうことがあります。
 
この《カツラ》、そう簡単には外れたりズレたりすることはありません。【●ーブ21】といい勝負・・・ってだからヅラじゃないって(笑)!
 
 
ところで鑿の刃先の角度は鑿の大きさにより異なるということをご存知ですか?
広くなればなるほど角度は緩くなり(約30°)、逆に1分鑿などの巾の狭い鑿はきつい勾配がついてます(といっても33°程度ですが・・・)。
 
ゴルフクラブのアイアンのロフト角のようにその鑿巾に応じた最適な進入角が設定されているという訳です。
 
鑿という道具は基本的には刃物な訳ですから使っているうちに切れ味が悪くなって来ます。
その場合【砥石(といし)】という道具を使って刃を研磨します!
 
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この砥石の上を刃物が滑ることによって刃先を研ぐわけです。
この《砥石》なるツールはなにげに奥の深~い代物なのです!
 
どうディープなのかと言うとまず《砥石》には【荒砥】、【中砥】、【仕上げ砥】と砥石の粒度によって3種類もの《砥石》があります。
さらにその中でも【人造砥石】と【天然砥石】の2種類があります!
 
さらに、【天然砥石】の【仕上げ砥】には《巣板(すいた)》、《合砥(あわせど》など産出される地層により呼び名が異なります。
 
この【天然砥石】の【仕上げ砥】の石は2億5千年の月日を経て形成された希少石だそうです。
日本の京都と滋賀の一部の地域でしか産出されないということです。
 
高価なものでは100万円近くする逸品もあるそうで、まさに大工さんにとっての『宝石』ですね!!
刃物と縁のない方々にとってはただの『石』ですけど・・・(笑)(^^;)。
 
この【砥石】で何をするかというとただひたすらに刃物を研ぐのみです!!
残念ながら他に使い道がありません。
 
刃物研ぎはなにげに難しいものです。
まさに「石の上にも3年」。
刃物研ぎをマスターするまでは最低これぐらいの年数がかかります。
 
 
ところでタケシくん、【鑿】と言う漢字は難しいよね。
まさか小学校で習ったりしてないよね(笑)。
 
実は【鑿(のみ)】という道具にはもう一つ難しい漢字が隠されているんだよ!
 
それは【鬘(カツラ)】。
 
・・・だからヅラじゃないって(笑)!!
 
 
それではまた・・・!
2012-04